研究課題/領域番号 |
17H06183
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
久保田 明子 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (40767589)
|
研究分担者 |
青木 睦 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (00260000)
高岩 義信 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 社会連携部・情報資料室, 協力研究員 (10206708)
飯田 香穂里 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (10589667)
清原 和之 学習院大学, 文学部, 助教 (10757264)
兵藤 友博 立命館大学, 経営学部, 教授 (20278477)
菊谷 英司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 社会連携部・情報資料室・史料室, シニアフェロー (60153045)
小沼 通二 東京都市大学, その他部局等, 名誉教授 (70027340)
後藤 基行 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 特別研究員(PD) (70722396)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
|
キーワード | アーカイブズ学 / 日本学術体制 / 日本学術会議 / 科学史 |
研究実績の概要 |
採択最初の本年度は、研究対象の資料群を所蔵している日本学術会議の担当者と打ち合わせのうえ、2017年9月に第1回目の全体会議を招集した。この会議は日本学術会議側の担当者の臨席も叶い、研究班(学術体制史、科学史研究者)、アーカイブズ整備班(アーカイブズ学研究者、データベース担当者)、担当機関の3者が揃ったことに意義があった。そこでは、研究班による研究の検討は随時推進しつつ、全体的な動きとしては、当面は書庫内の環境整備、資料整備に重点を置くこととした。具体的には、科研採択以前より開始していた資料の物理的な整理を更に発展的に進めた。結果、今年度は数十年分の簿冊約1000件の配列整備の完了と概要情報を確認した。書庫環境については、その状況を把握するため日本学術会議事務局の了承を得てデータロガーを設置しその分析を開始した。また、環境改善のために許可を得てサーキュレーターを設置し稼働を開始した。更に次年度のクリーニング作業の計画を行った。これらの作業には研究班も積極的に参加し、資料の整備過程においても個々に資料調査を行った。また、刊行されている関連目録等の遡及入力も実施し、今後の資料整備や研究だけでなく、日本学術会議での管理事務にも寄与できるデータ作成を心掛けた。 研究班は、関係者へのオーラルヒストリーを計画し、本年度は江沢洋氏にお話を伺った。年度末には広島で第2回全体会議を行ったが、その際日本学術会議の前身である学術研究会議が派遣した原子爆弾災害調査特別委員会に関連する資料のワークショップを広島平和記念資料館で開催した。 本年度、ある部分では結果的に計画以上の成果を得ることができたのは、研究班とアーカイブズ整備班が分業せずに共同で合理的に作業を行ったこと、また日本学術会議事務局の厚い配慮によるものであった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始当初に科研の関係者の多くが実際に書庫での資料調査を行い、そのすぐあとに議論に入って研究計画等を検討したことが、結果的に現実的な計画立案とその実施ができた要因であったと考える。しかし、と同時に、科研での研究を開始してから新たに分かった状況や検討事項などもあるため、それらに関しては今後また更なる議論が必要となっている。また、本年度は研究の基盤を形成することが目的であった点で、その進展は測りやすい状況でもあった。むしろ今後は、資料整備では更に具体的な問題への対処が増加することが予測され、かつ研究班には、本年度以上の研究発展が望まれるため、本年度は相対的に見て進展があったように見えていると自覚する。また、日本学術会議側の深い理解がなければ本年度の進捗はなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の経験から、本科研の関係者と日本学術会議、また本科研内では研究班とアーカイブズ整備班において、その連携、情報の共有、協力体制が研究遂行の重要な点であることがわかった。今後も、書庫内の整備作業や調査においては個別に行うのではなく、連携しながら行うこととする。 具体的には、アーカイブズ整備班は、継続して資料整備を主導し、書庫内の環境改善と活用しやすい整備を実施していく。そしてまたその実務作業を通してアーカイブズ学研究的課題を検討し、その研究にも着手する。それは例えば、学術研究機関における文書管理について、科学研究のなかでの研究資料に関してのアーカイブズ学的検討などといったものとなる。 研究班は、アーカイブズ整備の実務にも協力しながらその経験を生かして自身の研究課題を策定していく。なお、そういった際、本科研の研究者のみに資料閲覧についてのプライオリティが生じるようなことのないよう強く留意し、研究班全体としては日本学術会議についての総論的な歴史的研究に取り組みつつ、それとは別に各人による(各人の専門や関心によっての)ケーススタディ的な研究を進める。特に次年度はその進展を図るべく、調査や勉強会を適宜積極的に行い、秋の全体会議ではその課題設定の報告を、また年度末の同会議では研究の中間報告を行うこととする。 また、同時に、昨年度より開始したオーラルヒストリーの実施の展開や、作成した入力データをもとにしたデータベースの具体的な構築にも着手していく。
|