研究課題/領域番号 |
20K20275
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
久保田 明子 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (40767589)
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研究分担者 |
青木 睦 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (00260000)
高岩 義信 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 協力研究員 (10206708)
飯田 香穂里 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (10589667)
兵藤 友博 立命館大学, 経営学部, 授業担当講師 (20278477)
小沼 通二 東京都市大学, その他部局等, 名誉教授 (70027340)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本学術会議 / 学術研究体制 / アーカイブズ学 / 科学史 / 歴史学 |
研究実績の概要 |
2021年度は、コロナ感染流行状況はまだ継続しているものの、以前よりは研究活動が可能な状況もあった。そういった間隙をぬって、本科研の研究者の一部は、資料調査研究の重要な現場である日本学術会議の図書館や書庫を数度訪問し、資料調査等を実施した。日本学術会議側からはいつも以上に本科研の研究活動への理解と配慮を賜り、結果、コロナ流行以前ほどではないが、感染対策をきちんと実施したうえで、ここ数年のなかでも自由度の高い調査が可能となった。 しかしながら、アーカイブズ学の知見を考慮したうえでの資料整備作業は実施できなかった。理由としては、複数の人員による、狭い空間である書庫での、比較的長い時間での継続的作業、また作業時の確認や打ち合わせによる会話の必要などの発生をまだ避けるべきであるからである。特に、本研究の分担者および協力者は、多くの地域に分散しているため、各地から参集すること、アルバイト人員を雇用して集合させることは、いまだ回避する必要があった。基本的な資料の整備をすることは学術研究の基盤となるものであるが、感染症の世界的な流行、その趨勢は、そういった学術体制や研究手法にも影響することは、特筆しておく必要があるかもしれない。 また、本科研の可能な限りの「まとめ」として、科研の全体会議実施に向けての会議を開催したい意向もあったが、これも結果的に実現できなかった。しかしながら、全体(全員)まではいかないものの、数名が集まって、研究と科研の「まとめ」に向けての打ち合わせを数度実施し、次年度はコロナ流行の状況を見つつ、研究の集大成を実施することを約した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本科研の特徴である資料庫での資料整備作業は、コロナ流行下のなか、だいぶ抑えられてきたと言えども実施することは懸念された。例えば、その現場となる書庫は密閉性が高い空間であり、複数の人数の滞在を考慮した換気は行われていない。また、合理的・機能的な資料整備には複数の人数が必要であり、且つ作業上(資料配架作業やデータ作成上)、多少なりとも会話も必要である。また、科研メンバーは、多くの地域に分散しており、対面にて集まることもなるべく避ける必要があった。メンバー内の一部はオンライン会議を活用することがあったものの、実際の資料状況を確認する必要がある研究調査においてはオンラインは適当ではなかった。状況に合わせてある程度計画の見直しをして進行中であるものの、必ずしも十分に進行できたわけではなかった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ流行状況を受けて、当初の研究計画を、その状況に合わせつつ当初からの重要な目的になるべく沿う形で研究を進行してきたが、今後は更にその検討を進め、実施計画を絞っていく。具体的には、本科研の集大成として、実施が可能だった範囲内という限定にはなるが、(1)日本学術会議内の資料整備終了とその報告(2)可能な範囲での目録等の情報の公開、(3)研究成果の取りまとめ(4)コロナ流行における調査研究(アーカイブズ学的整備)の影響(5)今後残された課題の整理、を行う。可能であれば、2022年度内に全体会議と、公開の会議を実施し、広く知見を問うことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ流行状況が落ち着いてきたものの、密閉空間である書庫で、比較的人数の多い学生を中心としたアルバイトを、滞在時間が比較的長い状況での作業を行うことは、責任問題としても大きく懸念したため、タイミングを見て実施する検討をすることはあったが、結果としてはこの作業を断念した。この、「日本学術会議を訪問しての書庫での作業」は本科研の基本的な作業なので、別のアルバイト作業に置き換えることはできない。そのため、謝金や資料整理に係る物品等購入などの関係経費の使用が完全にはできなかった。また、当初は科研における全体会議および中程度の会議を検討していたが、これもまた、研究者のおかれた状況(所属先や社会全般に定められた行動の制約など)などがあって、予定通りの回数の実施ができなかった。そのため、それに関連する経費の執行ができなかった。 次年度は本年度にかなわなかった事業を極力可能な形にして、実施することを試みる。具体的には、コロナ流行状況を随時確認し制約等を確認しながらも、規模や方法の変更を改めて検討して可能な限りの現地調査を実施し、文献収集等を綿密に行って充実したレファレンスや報告書の作成を進める。また、可能であれば、公開の会議を実施し、本件についての活発な議論を行うこととする。
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