超伝導と電荷密度波(CDW)といった多重の秩序が競合共存する系を対象に、光学的量子クエンチの手法を用いて、新たな量子相の探究を行った。遷移金属ダイカルコゲナイド物質ではCDWの振幅モード励起を介した相転移を初めて実現した。鉄系超伝導体では、光照射により超伝導が増強することを非線形テラヘルツ分光から明瞭に実証した。ストライプ秩序を発現するLa214系銅酸化物高温超伝導体では、電荷秩序とスピン秩序、超伝導との競合・相関をダイナミクスから調べる新たな手掛かりを得た。Y123系銅酸化物高温超伝導体では光励起により平衡状態の超伝導とは異なるコヒーレントな電子状態が発現している可能性が高いことを見出した。
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