研究課題/領域番号 |
20K20415
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
曽野 裕夫 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (60272936)
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研究分担者 |
東山 寛 北海道大学, 大学院農学研究院, 准教授 (60279502)
嶋 拓哉 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (80377613)
児矢野 マリ 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (90212753)
山下 竜一 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (60239994)
中谷 朋昭 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60280864)
小林 国之 北海道大学, 大学院農学研究院, 准教授 (10451410)
村上 裕一 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (50647039)
清水池 義治 北海道大学, 大学院農学研究院, 講師 (30545215)
中山 一郎 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (10402140)
伊藤 一頼 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (00405143)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食資源 / 農業 / グローバリゼーション / 法戦略 / フィールド調査 / 地理的表示 |
研究実績の概要 |
研究期間2年目である今年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大という当初予期しなかった事態に即応したresponsiveな研究を行うため、この事態が持続的な食資源確保に対して与える影響と、それに対する法制度的課題の洗い直しを行った。この研究プロジェクトでは、「ヒト」(生産主体)、「モノ」(生産物)、「プロセス」(生産・流通過程)という3つの視点から分析をおこなっているところ(なお、これらの視点は相互排他的ではなくて重複しうる)、そのようにして洗い出された課題のうち、特に「ヒト」にかかわる問題として、とりわけ北海道の農業にとっては不可欠である外国人の人材確保が滞っている実態についてフィールド調査を行い、政策的課題の同定を行った。また、「プロセス」にかかわる問題としては、新型コロナウイルスによる国際物流の途絶などがサプライチェーン契約に与える影響について、いわゆる「ハードシップ」についての契約法的分析を行い、成果を公表した。 新型コロナウイルス感染症拡大が食資源確保に与える影響という観点とは切り離された研究としては、まず、「ヒト」についてスマート農業に関する政府の農業DX構想の検討状況をフォローした。また、「モノ」について、主に「地理的表示」または「地域団体商標」の国内外における活用について、フィールド調査による実態解明や、これらの制度に関する制度論・法律論的検討をおこない、その成果の公表の準備を行った。「プロセス」については(「モノ」の視点とも重なるが)、種苗法・種子法の近時の改正動向を分析し、その成果の一部は論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
この研究プロジェクトは、国内外でのフィールド調査を行って、地に足のついた政策提言を行うことを目的とするものであるところ、令和2年4月から令和3年3月までの期間においては、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大のために、政府による外出自粛などの国内の移動制限や、所属機関や調査先の研究活動方針・事業継続方針(BCP)による制約などのために国内フィールド調査を実施することが困難であった(感染状況が比較的安定していた時期に集中的にフィールド調査を行ったが、それでも当初計画のごく一部であった)。また、海外フィールド調査については、所属機関や調査先の研究活動方針・事業継続方針(BCP)による制約、外務省による渡航に関する注意喚起、渡航先の入国制限措置・行動制限などのために実施することができなかった。 文献調査についても、所属機関その他の図書館の閉館、または利用制限がおこなわれ、この状況は徐々に改善されつつあるとはいえ、十分な文献調査を行えない時期もあった。 代替的に、オンラインによるヒアリングや研究打合せを行うほか、電子図書の購入などによる文献研究は行ったものの、それだけでは当初計画により得られたであろう知見には及ばなかった。
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今後の研究の推進方策 |
この研究プロジェクトの当初計画においては、フィールド調査の比重が高いところ、令和3年度以降においても、新型コロナウイルスの国内外の感染状況によっては当初計画どおりのフィールド調査をできない可能性が高く、その点への対応が課題となる。 新型コロナウイルス感染状況が落ち着いた場合には、当初予定していたフィールド調査の実施を、調査先との日程調整のうえ、加速させる。 感染状況が落ち着かない場合でも、感染状況の安定期に可能なかぎりの国内フィールド調査を行う。海外フィールド調査は、国内の感染状況だけでなく相手国の感染状況や入国規制等も勘案せざるを得ないので、文献調査に切り替えざるを得ないことがありうる。しかし、2020年にオンラインでの会合開催が世界的にも標準化されたといえるため、不十分であっても、オンラインでのヒアリングを行うなどの工夫をする。 他方、オンラインでの研究会開催が標準化したために、日本各地または海外の研究者との研究会開催を行うためのハードルは低くなった。オンライン開催の効果は、非公式の臨機応変な情報交換・意見交換を行うという観点からは対面開催により得られる効果に及ばないが、他方で、経費節減や移動時間の削減による日程調整の容易化などのメリットがあることから、対面開催との使い分けを意識しながら、オンライン開催をより積極的に行う(このことは、すでに令和2年度から実施しているところである)。 なお、令和2年度の一時期において困難のあった文献調査については、所属機関の図書館機能もほぼ回復しており、図書館の閉館等が研究推進の障害になることはない見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
第1に、研究会活動について、対面開催のほかに、会合の性質・内容に応じて、オンライン開催という手段を活用することにより、出張旅費等の経費の節減と効率的使用を行うことができた。 第2に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響のために、外出自粛などの国内の移動制限や、所属機関や調査先の研究活動方針・事業継続方針(BCP)による制約、外務省による渡航に関する注意喚起、渡航先の入国制限措置・行動制限などのために、国内外でのフィールド調査やヒアリングや研究打合せが困難となった。そのため、当初予定していた出張旅費の支出が減った。特に海外出張をともなう活動については、所属機関や調査先の研究活動方針・事業継続方針(BCP)による制約、外務省による渡航に関する注意喚起、渡航先の入国制限措置・行動制限のため、また、学会等の開催中止のために実施することが支出機会がなかった。
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備考 |
小林国之「酪農家と地域が共に考え「豊かな」生活環境を整える」デーリィマン2021年2月号、「「家族経営」や「半農半X」にも言及」ニューカントリー2020年6月号、「北海道に見る、農業が支える地域社会」アドスタディーズ 2020年冬号、「ウィズコロナ時代におけるJAのあり方」農政運動ジャーナル2020年11月号 村上裕一「フランスの農協 市場に適応 付加価値高く」北海道新聞2020年4月11日朝刊
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