研究課題/領域番号 |
20K20491
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
谷口 綾子 筑波大学, システム情報系, 教授 (80422195)
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研究分担者 |
木村 武史 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00294611)
久木田 水生 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (10648869)
田中 皓介 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 助教 (30793963)
神崎 宣次 南山大学, 国際教養学部, 教授 (50422910)
中川 由賀 中京大学, 法学部, 教授 (50802881)
中尾 聡史 京都大学, 工学研究科, 助教 (70828954)
上出 寛子 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (90585960)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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キーワード | 自動運転システム / 社会的受容 / 学際 / 自動走行 |
研究実績の概要 |
2023年度は研究計画に沿って,主に下記5つのテーマで研究を進めるとともに,過年度までの成果を論文や学会発表の形で公表した.(1)自動運転車(AVs)による事故における「応報ギャップ」と「道徳的運」に関する調査分析,(2)高速道路での渋滞吸収走行普及に向けた情報提供と自動運転による先導車がドライバーの心理変化に与える影響,(3)子ども送迎行動の世代間比較とAVs導入による親子コミュニケーションの変容可能性,(4)自動運転バスのエクステリア印象評価とその理由の定性的分析,(5)ゲーム理論の枠組みを援用した交通すごろくの効果検証と戦略分析.その結果,それぞれ(1)交通事故時の報復感情は通常のクルマであれば加害車両のドライバーに向かうが,AVsでドライバーが存在しない場合は被害者の関係者が自責の念を強くもつ可能性,(2)高速道路の渋滞吸収走行の先導車について,AVsと一般車両でドライバーに与える影響に差は無いこと,(3)子どもの送迎行動は過去50年間で増加傾向にあり,特に保護者(送迎者)にとって子どもとの貴重なコミュニケーションの場として認識されていること,AVs導入でその機会が減ることを懸念する層もいること,(4)自動運転バスの外見として女性はかわいい,男性は速い,を好むこと,(5)公共交通不便ルールでは,より利己的な選択が増加すること,等が示唆された. また,多様な学問分野の研究者が集う研究会を2023年9月に北海道上士幌町,2024年3月に岐阜市にて計2回開催した.それぞれ自動運転バスが定常運行している自治体であり,自治体職員からの説明を含む視察と試乗を通じて,それぞれの地域における社会的受容を議論し議事録として取りまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に加え,自動運転バスのエクステリアの社会的受容性や,自動運転車両導入による送迎コミュニケーションの変化がもたらす影響など,関連する新たなトピックについても研究を進めており,おおむね順調に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
自動運転システムについては,日本においても実証実験から定常運行のフェーズに移行しつつあり,今後,事故や想定外の事象が発生する可能性がある.その際,一般市民の社会的受容性やマスメディアの論調がどのように変化し,発散・収束するのかを記述するとともに,その規定因を明らかにし,自動運転システムを社会にソフトランディングさせるための方途を研究活動として続けていく所存である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の一環として米国の自動運転システム開発,実験と実装に関する現地調査を実施することを想定していたが,関係者との調整の結果,渡航時期が2024年5月-6月にずれ込んだため,研究費の次年度使用が生じた.使用計画としては,米国テキサス,フェニックス,ラスベガスの実証実験や路車協調型システムに関する現地調査旅費として充当する予定である.
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