「不斉合成の問題点」とは,アキラルな分子やラセミ体から光学活性化合物を合成・分離できない点にある。実際,「不斉合成」には不斉触媒や,エナンチオ選択性・ジアステレオ選択性を利用した反応が用いられており,また,光学分割には光学活性化合物が用いられている。これは「光学活性化合物は光学活性化合物を用いないと合成できない」ことを示している。従って,不斉炭素に由来する原料を辿っていくと最終的には自然界で光学分割されている糖やアミノ酸に行き付いてしまう。この様な背景の中,当該研究において電場によるキラルスイッチング可能な分子を開発できれば,不斉合成分野に革新的な知見をもたらすことが可能になる。
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