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2023 年度 実施状況報告書

人質による合意保証メカニズムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K20747
研究機関北海道大学

研究代表者

小浜 祥子  北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 准教授 (90595670)

研究分担者 西 平等  関西大学, 法学部, 教授 (60323656)
前田 亮介  北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (00735748)
三船 恒裕  高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (00708050)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2025-03-31
キーワード人質 / シナリオ実験
研究実績の概要

当初の計画において、最終年度は仮説の実証結果をふまえた理論の再検討を行う予定となっていた。具体的には令和5年度4月にシナリオ実験をインターネット上で実施し、その分析結果をプロジェクト・メンバー全員に共有した上で、理論や仮説の再検討および実験室実験の可能性について意見交換を行うこととしていた。
この計画に従い、4月にオンラインのサーベイ実験を実施した。この実験の目的は「人質」による合意保証について、経済学で言われるような「義務不履行の際に犠牲になる財の供出」によって合意が保障されているのか、人的なつながりによって何らかの信頼関係が構築されることによって合意が保障されやすくなるのかについて検証することであった。そこで集団間の紛争と停戦合意に関する架空のシナリオを提示し、合意保証の在り方についての情報を被験者に無作為に一つ選んで割り当て、それを読んでもらった後、全ての回答者に敵対集団のコミットメントや敵対集団への信頼に関する共通質問に回答してもらった。そして共通質問に対する回答者の回答を比較することにより、各回答者が直前に読んだ情報の効果を測定した。調査では約400件の回答を回収した。
これらの回答を小濵と三船で分析し、その結果を5月の北海道大学でのミーティングで共有し、有意義なフィードバックと追加実験に関するアイディアを得た。その後、研究の中段期間を挟み9月中旬に研究を再開した。研究再開後、一年間の研究期間延長を申請し受理された。
11月に研究再開にかかるミーティングを実施し、今後の研究計画について確認するとともに、昨年度のシナリオ実験から得られた知見を仮説へとフィードバックし、再度シナリオ実験を行う方向で検討を行った。また本研究課題の成果発表のため日本政治学会へパネルを応募することついて合意をみた。その後、小濵と三船を中心に、追加実験に向けた検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の研究計画において、研究期間の初年度(令和2年度)は西欧および日本の人質に関する事例調査、第二年度(令和3年度)は事例調査をふまえて仮説の構築と検証、最終年度(令和4年度)は実証結果をふまえた理論の再検討を行う予定であった。令和3後半から令和4年度前半まで、令和5年度中盤の二度にわたって研究を中断し、それぞれ一年の研究期間の延長を行ったため、研究計画を後ろ倒しにした。
よって、令和5年度初頭は、シナリオ実験をインターネット上で実施し、その分析結果をプロジェクト・メンバー全員に共有した上で、理論や仮説の再検討および実験室実験の可能性について意見交換を行うこととしていた。これについては予定通り4月にシナリオ実験を実施し、分析結果を5月のミーティングで報告することができた。
しかし、実験結果が仮説とは必ずしも合致しなかったため、それらを理論へとフィードバックし仮説の再検討と追加の実験が必要となった。年度中の研究中断を挟み、研究再開後の計画としては年度内に二度目のシナリオ実験を行い、分析結果の分析と事例研究へのフィードバックを行うこと、第一回目のシナリオ実験について小濵と三船を中心に論文を執筆し投稿を目指すことを予定していた。そこで11月のミーティングにおいて仮説の再検討と追加実験のアイディアを検討した。それを基に小濵と三船が中心となって実験案の策定を行ったが、さまざまな検討事項が生じたことから年度内の実験実施は叶わなかった。これは令和6年度初頭に実施する方向で準備を進めている。
また研究成果の発表については、実験結果の分析・解釈にさらなる時間が必要となったことから論文の執筆・投稿には至らなかったものの、令和6年度日本政治学会研究大会で成果を報告するためのパネル申請を行うことができた。

今後の研究の推進方策

当初の計画において、令和5年度(最終年度)は仮説の実証結果をふまえた理論の再検討を行う予定となっていた。この計画に沿って、令和6年度初頭に追加のシナリオ実験をインターネット上で実施し、その分析を行う。その分析結果を全体に共有した上で、理論や仮説の再検討を行う。また秋の学会報告にむけて各自が論文を執筆し、全体ミーティングで意見交換を実施する。学会で得られたフィードバックをふまえ各自の研究をさらに発展させ、研究課題全体の成果について取りまとめる。

次年度使用額が生じた理由

令和5年度中に研究を中断し、一年間の研究期間延長を行ったため、研究再開後の使用を見越して研究経費を計画的に執行した結果、次年度使用額が生じた。また当初予定していた追加のシナリオ実験を令和6年度に回したため残額が生じた。残額については、当初の研究計画に沿って、書籍の購入、研究打ち合わせや学会参加のための旅費、仮説検証のための実験の実施費用などに充てる予定である。

備考

「<教授陣のマンスリー講座>前田亮介氏(政治史) 政党政治 示唆に富む横路氏の足跡」北海道新聞2023年6月24日朝刊

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Managing the Costs of Backing Down: A “Mirror Experiment” on Reputations and Audience Costs in a Real-World Conflict2024

    • 著者名/発表者名
      KOHAMA, Shoko, QUEK, Kai, and TAGO, Atsushi
    • 雑誌名

      The Journal of Politics

      巻: Vol.86, No.1 ページ: 388―393

    • DOI

      10.1086/726927

    • 査読あり
  • [雑誌論文] なにもかも「非正規」の状態を終わらせる――イスラエル・パレスティナ問題について2024

    • 著者名/発表者名
      西平等
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 96巻1号 ページ: 1―3

  • [雑誌論文] Do Reconciliation Events Serve as a Conciliatory Signal?2023

    • 著者名/発表者名
      OHTSUBO, Yohsuke, HIMICHI, Toshiyuki, INAMASU, Kazunori, KOHAMA, Shoko, MIFUNE, Nobuhiro, and TAGO, Atsushi
    • 雑誌名

      European Journal of Social Psychology

      巻: Volume 0: Ahead of Print ページ: 1―16

    • DOI

      10.1002/ejsp.3028

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Association between Ideology and Resistance to Governmental Apology Depends on Political Knowledge2023

    • 著者名/発表者名
      INAMASU, Kazunori, KOHAMA, Shoko, MIFUNE, Nobuhiro, OHTSUBO, Yohsuke, and TAGO, Atsushi
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Political Science

      巻: Vol.24, Issue 3 ページ: 348―367

    • DOI

      10.1017/S1468109923000130

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] WHO憲章――グローバルに実現すべき「健康」とは何か2023

    • 著者名/発表者名
      西平等
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 520号 ページ: 22―27

  • [雑誌論文] カール・シュミットのグロースラウム理論2023

    • 著者名/発表者名
      西平等
    • 雑誌名

      国際法外交雑誌

      巻: 122巻2号 ページ: 1―29

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 〔ポリティクス篇〕保健専門機関の活動における法と政治――核兵器問題を素材として2023

    • 著者名/発表者名
      西平等
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 95巻9号 ページ: 46―52

  • [雑誌論文] リベラルな正義に基づく非対称的な戦争法はリベラルであるか(【書評】『万民の法』ジョン・ロールズ著・中山竜一訳)2023

    • 著者名/発表者名
      西平等
    • 雑誌名

      法学セミナー

      巻: 820号 ページ: 126―127

  • [雑誌論文] 戦後北海道の政党政治における「革新」の構想と戦略―横路家二代の政党指導から―2023

    • 著者名/発表者名
      前田亮介
    • 雑誌名

      北海道自治研究

      巻: 657号 ページ: 20―35

  • [雑誌論文] ブックハンティング(37)「暗殺の文化」が照らしだす日本の民主主義――筒井清忠『近代日本暗殺史』(PHP新書)2023

    • 著者名/発表者名
      前田亮介
    • 雑誌名

      フォーサイト

      巻: 2023年9月28日号 ページ: ――

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「左派外交史学」の曙光――一九三〇年代日本のマルクス主義史家たち2023

    • 著者名/発表者名
      前田亮介
    • 雑誌名

      歴史学研究会【編】加藤陽子【責任編集】『「戦前歴史学」のアリーナ――歴史家たちの一九三〇年代』(東京大学出版会)

      巻: ―― ページ: 187―227

  • [学会発表] 戦前大陸政策と国際金融資本2024

    • 著者名/発表者名
      前田亮介
    • 学会等名
      日本国際問題研究所(JIIA)公開シンポジウム「2つの開国:幕末~戦後日本の政治と外交」第二セッション「日本政治と国際金融」
    • 招待講演
  • [学会発表] メイド・イン・USA――戦後日本の新しい政治史学とアメリカの諸社会科学2023

    • 著者名/発表者名
      前田亮介
    • 学会等名
      2023年度日本政治学会総会・研究大会 E1【企画委員会企画】 新しい政治史は可能か?
  • [備考] Wiley Online Library

    • URL

      https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ejsp.3028

  • [備考] Cambridge Core - Journals & Books Online

    • URL

      https://doi.org/10.1017/S1468109923000130

  • [備考] 新潮社 Foresight フォーサイト

    • URL

      https://www.fsight.jp/articles/-/50091

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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