本研究では、言説ネットワーク分析によって、政策争点に対する主張と関連アクターとの相互関係を可視化した。消費増税について、2012年に8%に増税が決定した時点では、野田首相や民主党幹部などの社会保障による増税肯定派と、無駄の削減や国民理解の不十分さを訴える民主党非主流派と野党という争点対立が明確に現れた。2014年の10%への増税延期については、与党自民党幹部内を中心とした即時増税派がみられる一方で、安倍首相からは慎重な言説がみられた。このように、争点対立とそれに連なるアクターの関係から、政治権力構造を描出することができた。
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