本研究で考察したパネルVARモデルは,経済学や心理学等の分野で使われているモデルである。特に,自己回帰係数等がクロスセクションごとに異なるパネルVARモデルの推定には,これまでベイズ推定量が主に使用されてきた。しかし,ベイズ推定量を使うためには,特殊なプログラミングスキルが必要であり,また,計算時間も非常に長くなるため,実証分析では必ずしも使い勝手が良くないという欠点があった。この問題を解決したのが本研究で提案されたバイアス修正平均グループ推定量である。提案された推定量は,容易に実行でき計算時間も非常に短いため使い勝手は非常に良く,今後,多くの実証分析で利用されていくことが期待できる。
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