研究課題/領域番号 |
20K20789
|
研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
倉持 香苗 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (40469044)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 地域共生社会 / 市民ファンド / 企業の社会貢献活動 / 地域づくり |
研究実績の概要 |
研究2年目にあたる2021年度は、国内の市民ファンド団体を対象としてアンケート調査を実施した。詳細な分析は次年度に実施するため、ここでは調査の概要を記す。 本調査の目的は2点ある。第一に市民ファンド団体の運営体制を把握すること、第二に市民ファンドに企業からの寄付金が含まれているか否かについて状況を把握することである。本研究は、社会福祉領域に捉われず、できるだけ多くの人(あるいは機関・企業)が地域住民による福祉活動を支えることができる可能性を追求することを目的としていることから、本調査では助成先を把握することに止まらず、助成先の決定方法についても着目している。 アンケート調査は2022年2月8から3月25日にかけて実施した。調査の実施中、コロナ禍を理由として郵便物の配達に通常より多くの日数がかかっていることが明らかになったため、調査期間を延長し約1か月半に及ぶ調査期間となった。調査票の配布数は84票、回収は39票であった。そのうち現在は事業を実施していない等の理由により対象外となった4票を除外した結果、有効数は35票、有効回収率は41.7%となった。 本研究は、地域共生社会の実現を目指すためには、地域住民や社会福祉関係者をはじめとするいわゆる福祉関係者のみならず、地域の誰もが、共に支え合う関係を構築することが大切ではないかと考えたことからテーマ設定に至っている。調査結果の分析は次年度の取り組み課題とするが、本調査により、寄付金あるいは会費の件数や金額、福祉課題の解決につながる活動に対する助成の有無等を把握し、次年度以降に実施する事例調査のための基礎的調査として位置付けたいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度(研究初年度)に引き続き、コロナ禍において学内業務に比重を置かざるを得ない環境だったことから、アンケート調査を実施するに止まった。調査結果の詳細な分析は次年度におこなう予定である。また、コロナ禍の影響により前年度と同様に活動が制限されていたことから、参与観察をはじめとするフィールドワークを当初の計画通りに実施することが難しい状況であった。次年度は、本年度実施したアンケート調査結果を手掛かりに研究を深めていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の開始と共に通常業務および本研究活動において新型コロナの影響を受けたことから、研究が予定通り進んでいない。先述した状況を踏まえ、今後の推進方策について見直しをおこなった。 2022年度は、前年度に実施したアンケート調査の分析作業を行うと共に、調査結果から事例研究の対象となる市民ファンド団体を抽出し、ヒアリング調査等を実施したいと考えている。とりわけ、市民ファンド団体がどのような市民活動に助成金を配分しているのか、福祉課題の解決に繋がる助成をおこなっているのか(おこなっているとすればその内容)、企業がどの程度参画しているかという点を明らかにしたい。 フィールドワークについては、コロナ禍により活動を縮小している例が見受けられることから、次年度も何らかの影響を受けるのではないかと推測される。市民ファンド団体が実施しているイベントなどの開催が中止になることは止むを得ないが、ヒアリング等についてはZoom等のオンラインビデオ通話を活用し、臨機応変に対応したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、先に述べた通り、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、研究が大幅に遅れたことである。本来は、アンケート調査を踏まえ、フィールドワークを実施する予定であったが、今年度はアンケート調査の実施に止まったため、訪問インタビュー調査など移動を伴う研究に関する支出が次年度分に繰り越された。 次年度は訪問またはビデオ通話によるインタビュー調査を実施するため、未使用額であった旅費やテープ起こし代金等が生じる予定見込みとなっている。
|