研究課題/領域番号 |
20K20826
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 正行 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (30351258)
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研究分担者 |
和嶋 雄一郎 大阪大学, 高等教育・入試研究開発センター, 准教授 (20572093)
伏木田 稚子 東京都立大学, 大学教育センター, 准教授 (40737128)
根岸 千悠 大阪大学, 全学教育推進機構, 特任助教(常勤) (60726610)
森 玲奈 帝京大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70588087)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 大学院生調査 / 大学院教育 / 大学院生の生態系 / 躓きと乗り越え / 研究活動の駆動 |
研究実績の概要 |
(1)国内外における大学院生や大学院教育に関する文献・訪問調査については,大学院調査,大学院教育に関する文献をサーベイし,アメリカやカナダ,イギリスなどの大学院に関する研究動向を把握した. (2-1)大学院生の活動実態を把握する質問紙調査については,大阪大学で2019年に実施したgradSERUの調査について,項目の一部を抜粋して分析し,国際比較を行った.その結果,大学院に対して,大阪大学の大学院の学生はコースの内容やカリキュラムや教員,研究室の評判を重視していたが,アメリカの大学院生は課程の評判と財政的な支援,EUの大学院生は教員とのつながりを重視していた.一方で,EUの大学院生は,指導教員からのキャリアに関するアドバイスについて,比較的有益な情報を得られていないと感じていることが示されており,EUにおいては,大学院生の指導教員に対する期待と現実に差が見られるのではないかと推察できる.また,大阪大学の博士課程の学生は,入学当時から論文の執筆に注力している状況が見て取れ,教員の職を得る可能性も高いと思っている一方で,教員の職に就いた際に必要となる“教える”ことに対するトレーニングに関する経験が乏しい状況が明らかになった. (2-2)大学院生の研究活動・学習過程を把握するインタビュー調査については,東京都内の私立A大学大学院生に対する躓きと乗り越えに関する調査を行い,<奨学金落選><研究室への違和感><指導教員との不和><指導教員の退職>など,やむを得ない事情があっても,それが数ヶ月に渡り続くことはなく,何らかの外的作用によって研究環境が向上し壁を乗り越えていく姿が明らかになった.学習環境への示唆としては,指導教員以外のスタッフとの関わり,後輩や同僚,学外との関わりが刺激や緩衝材として機能していることが見て取れた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響で,訪問調査ができなかったり,インタビュー調査の実施が難しかったところはあるが,文献調査,質問紙調査の分析,インタビュー調査の実施・分析を行うことができ,当初の計画に近い形で研究を遂行できている.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も、継続して文献調査を実施し、前期に質問紙調査の実施・分析、後期にインタビュー調査の実施・分析を行い、定期的に研究打ち合わせを行い、研究を遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、訪問調査による海外出張が不可能になったこと、学会の研究会などもオンライン開催になったこと、研究打ち合わせもオンラインで実施したこと、から、旅費を利用しなかったことが主たる理由である。 2021年度は、必要な物品の購入に加え、インタビュー調査の文字起こしなどに使用する予定である。出張が可能になれば、訪問調査なども実施する予定である。
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