研究実績の概要 |
本研究では,心理学研究を(1)事前登録,(2)データ取得,(3)データ解析,(4)データ活用の4段階に分けた上で,それぞれに必要なRパッケージを開発し,それらを用いて作成した認知課題を検証する実験を実施することを目的とした。 (1)事前登録に関して論文にまとめて発表した(国里・土屋, 2022; 国里・遠山, 2021)。 (2)データ取得についてはjsPsychとJATOSを組み合わせて用いることにし,JATOSでのデータ収集を前提としたjsPsychテンプレートをRで準備する機能を含んだRパッケージpsyinfrを開発した。さらに,電子ラボノートの機能もpsyinfrパッケージに追加した。また,再現可能な形式でjsPsychベースの認知課題・質問紙を配布するタスクリポジトリについて設計し,試験的なリポジトリの構築を行った。収載されているタスクや質問紙は少ないが,将来的に拡充することで,再現性問題だけでなく研究実施の効率化にも寄与することが期待できる。なお,タスクリポジトリに収載する質問紙に関して,項目反応理論に基づく項目バンクの作について論文として発表した(国里・竹林, 2024)。(3) データ解析については,心理学者が活用しやすいDockerイメージの開発に取り組み,データ解析から論文までを可能とするjpaRmdパッケージを作成した。上記Rパッケージは,日本心理学会のチュートリアルワークショップにて普及活動につとめた。(4)データ活用については,オープンデータ化に必要な手順について整理し, 日本認知・行動療法学会や日本テスト学会において発表した。メタ分析や二次分析研究については,日本社会心理学会の方法論セミナーにおいて発表した。なお,上記のツールを使ってタスクリポジトリに収載する課題の検証を行ったデータについては,今後論文化予定になる。
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