本研究では,水素原子の共鳴吸収を利用したガスフィルタの原理実証と校正手法の確立に取り組み,以下の成果を得た.(1)遠紫外光を透過するMgF2を光軸方向に融着した硬質ガラスセルを試作し,衝撃・振動耐性を確認した.(2)光軸方向にKrガスを封入したセルを設置することで,10pm以上の精度で波長を正しく把握する手法を見出し,放射光施設の連続光を用いた吸収効率の評価手法を確立した.同時に,共鳴散乱を直交方向に導入する直交型セルも制作した.(3)タングステンフィラメントの形状を最適化し,長寿命化に求められる条件を把握した.これらの成果は,将来の彗星探査ミッションに搭載される観測装置に応用される.
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