研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、腫瘍を有するマウスの非腫瘍部にプラズマを照射したときに、照射部から離れた腫瘍に抗腫瘍効果が得られることを示した。マウスの背中左上付近にプラズマを1日10分間、計5日間照射すると、照射部から離れた右脇腹にあるマウス大腸がんColon-26腫瘍の成長が遅れることが観測された。この効果が得られるのは、プラズマ照射初日の腫瘍体積がある程度小さい必要があることが示された。免疫不全マウスを用いた実験により、この正常組織照射による抗腫瘍効果はT細胞由来の適応免疫が効いていることが示唆された。
プラズマ応用工学
本研究では、がんを有するマウスの正常組織に放電プラズマを照射すると、照射部から離れた場所にある腫瘍に抗腫瘍効果が得られることを示した。そして、この効果がマウスの抗腫瘍免疫反応によるものであることを示した。このような現象は、他の放射線治療などの分野でもほとんど観測されたことはなく、副作用が比較的小さいと考えられているプラズマの正常組織照射による、新たながん治療法の開発につながることが期待される。