凝集-ろ過-塩素消毒から成る現行の浄水処理においては,ウイルス低減の大部分を塩素消毒に依存している.このような中で,水道水を媒体とする病原ウイルスによる水系感染症を制御していくためには,病原ウイルスの塩素処理性を詳細に把握することが極めて重要である.本研究では,ヒトコロナウイルスを含む病原ウイルスの塩素処理性を明らかにすると共に,高い塩素処理耐性を有するコクサッキーウイルスを高度に不活化するために必要な塩素処理条件を明らかにすることに成功したことから,本研究で得られた知見は,水道水利用における病原ウイルスのリスク管理・制御の枠組みの構築に資するものであると考えられる.
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