研究課題/領域番号 |
20K21024
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
榊原 豊 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80143204)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 促進活性汚泥法 / 抗生物質 / 新興汚染物質 / バイオフェントン反応 / マグネタイト / 栄養塩類 |
研究実績の概要 |
本年度は連続回分反応槽(SBR)による処理実験を継続すると共に、連続反応槽を作製して合成排水の連続処理実験を異なる操作条件下で行った。実験は処理性能および処理水質がほぼ一定となる定常状態まで継続し、得られた結果から、処理槽内で進行する主要な反応、処理安定性および処理性能について検討した。その結果、SBRの嫌気状態と好気状態、連続反応槽の嫌気槽と好気槽では、マグネタイト内のFe(Ⅲ)およびFe(Ⅱ)の酸化還元サイクルが形成されること、また好気状態あるいは好気槽内で生物学的に過酸化水素が産生され、これがマグネタイトの酸化還元反応と共役してOHラジカルを生成する生物学的フェントン反応が進行することがわかった。マグネタイト添加により、モデル抗生物質のスルファメトキサゾール(SMX)の除去率が無添加系より40%以上向上した。排水のCODの除去率は、嫌気槽内の鉄還元反応により5%程度向上することがわかった。 反応槽内では硝化・脱窒反応およびリン放出・吸収反応が進行し、これら反応の量論関係から求めたCOD収支と実測値はほぼ一致した。HRTが数日から1日程度の操作条件では、SMX, CODおよび栄養塩類を安定して除去できることがわかった。現在、操作条件をさらに変化させ同様の検討を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
装置内で進行するマグネタイトの酸化還元反応とバイオフェントン反応が共役的に進行し、これがCODやSMXの安定かつ促進処理に繋がっていることが分かった。安定した性能が発揮できるマグネタイト添加量,HRT,活性汚泥濃度、有機物負荷がほぼ分かりつつあり、最終年度に向けて概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実験を異なる条件で行い、より詳細な設計・操作条件を明らかにする。また、これまでと同様の実験装置を実際の処理施設内に設置し、安定した処理が可能であることを検証する。現在、設置可能な処理施設について検討中であり、許可が下り次第、フィールド試験を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた学会出張や研究出張がコロナ禍で実施できなかったことによる。これらは次年度において学会出張旅費、研究旅費等として使用する予定である。
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