戦後の地震空白期の終焉と極端気象の時代の到来によって、そもそも、あらゆる災害の誘因は大きくなっている。と同時に、高度経済成長期から半世紀が過ぎ、造成地の盛土や擁壁の老朽化が目立つ様になった。つまり、宅地崩壊のリスクは増大している。しかし、不思議と国民の大半は、明日は我が身と思っていない。関東南部、大阪、名古屋等の巨大都市圏で予想される、大規模な宅地崩壊に対処するためには、「未災の意識」を住民・自治体が共有する必要がある。未災学は、防災対策の議論の基盤を提供するとともに、あるべき方策の指針を示すものである。本研究で実施されたシンポジウム等を含む研究成果はそのための第一歩としての意義を有している。
|