研究課題
本研究では,X線用アダプティブ反射レンズを用いて波面収差を積極的に修正することで,超高分解能X線顕微鏡の実現可能性を検討した.本年度は,①形状可変ミラーの性能評価,②波面計測法の検討,③X線テスト を実施した.①では,可視光干渉計を使って試作した形状可変ミラーの性能評価を実施した.形状可変ミラーに貼り付けた圧電素子上の電極に様々な電圧を印加することで,変形の大きさ・リニアリティ・再現性・安定性等を評価した.②では,有望な波面計測手法である,X線格子干渉計,X線微小点を用いる方法,X線像を反復的位相回復計算で解析する方法などを検討した.X線格子干渉計では性能向上を目指し様々なエラーを検討した.微小点を用いる方法では,実際のX線顕微鏡を使ったフィージビリティテストを実施した.すべての方法でシミュレーションを実施し,実現可能性の確認を行った.③では,実際のX線を使って形状可変ミラーによる波面制御のデモ実験を実施した.試作した形状可変ミラーをSPring-8に設置して,大開口数集光光学系を構築した.X線干渉計を使ってその波面を正確にモニターしながら,波面収差をゼロにするように形状可変ミラーを変形させた.「波面収差計測+形状可変ミラー変形」のセットを何度か繰り返すことで,最終的に,λ/4程度まで波面収差を抑えることができた.これは回折限界まで集光できることを意味し,形状可変ミラーを使ってうまく波面を制御できることを実証した.
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