本研究では、有機ラジカル分子を用いて、液体(流動)状態で電子伝導性を示す伝導性ゲルの創製およびそのメカニズムの解明を行った。この電子伝導性ゲルは、有機ラジカルの混入量が僅か8w%程度の濃度で実現した。より高濃度のゲルでは、一般的な有機半導体結晶と同等以上の10-4 S/cmの高い室温伝導度を示した。このゲルを乾固させたキセロゲルは低温まで金属伝導性を示した。この電子伝導性ゲルのXRDおよびキセロゲルのTEM、分光エリプソメトリー等の各種分析を行ったところ、粉体および単結晶と同系の結晶格子を有するが、完全に一致はせず、溶媒を混和した状態でゲル特有の準安定状態を形成することが明らかとなった。
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