本研究では、当初の予定通り、三重項励起色素を導入したニトロキシドラジカル(NR)液晶の設計・合成を行い、ラジカル-三重項対機構(RTPM)による効率的なスピン注入が起こることを確かめた。さらに、イオン部位を有するNR液晶であるNRイオン液晶と、サイボタクチックネマチック相を示すNR液晶の設計・合成を行った。今後、これらの化合物の類縁体の探索により、室温付近において液晶相を示すNRイオン液晶の合成し、スピン注入とスピンホール効果測定によって、スピン拡散機構の解明が可能になると期待される。加えて、本研究では、薬物送達システムに利用可能な光応答性液晶マイクロカプセルの作製にも初めて成功した。
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