森林土壌中に休眠状態で存在する外生菌根菌(以下、菌根菌)の埋土胞子は撹乱後の宿主実生の定着を支える。一部の菌根菌では、埋土胞子の生存期間が長期におよぶと推定されているが、十分な検証がなされていない。そこで本研究では、過去の埋土胞子が含まれる可能性のある津波堆積物や、宿主樹木が過去に枯死した場所の土壌試料を用いて長期間の生存期間を検証した。その結果、ショウロ属などの一部の菌根菌の埋土胞子が最大で16年間感染性を維持していることが明らかにされたものの、それよりも長期の生存は確認できなかった。今回確認された生存期間はこれまでに報告された中で最長であり、森林の管理方法に重要な示唆を与えるものである。
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