研究課題/領域番号 |
20K21418
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤田 直己 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (10554488)
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研究分担者 |
馬渕 洋 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50424172)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 骨髄脂肪細胞周囲細胞 / フローサイトメトリー |
研究実績の概要 |
本年度は、新たにマウスおよび猫における骨髄脂肪細胞周囲細胞(BM-PACs)の存在を検討した。その結果、猫骨髄中には脂肪細胞に付着する小型の細胞集団を同定でき、これらを天井培養すると高い増殖能を示す線維芽細胞様細胞を得たことから、猫においてもBM-PACsが存在することが明らかとなった。しかし、得られた細胞が少なく、骨・軟骨・脂肪細胞への多分化能の検討については、十分な確認ができなかった。また、猫のBM-PACsの分離・培養と同時に従来法による骨髄間葉系幹細胞(BMMSCs)の培養をおこなったが分離効率が低く、猫でも犬と同様にBM-PACsのコロニー形成能はBMMSCsと比較して優れていた。したがって、BM-PACsは猫においても幹細胞治療の移植材料として有用な細胞であると考えられた。一方、マウスにおいては、個体が小さいこともありBM-PACsの分離・培養が困難であった。現在、骨髄の灌流による骨髄内組織の回収を行なっているが、今後、骨の破砕による骨髄内組織の回収を試みることで、マウスBM-PACsの分離・培養が可能かをさらに検討する予定である。 研究分担者との共同研究として進める予定であった、フローサイトメトリーのマルチカラー解析を用いたBM-PACsとBMMSCsの比較を通した表面抗原解析および特異的抗原の探索については、コロナ禍の影響が引き続き、進捗が得られなかったため、研究期間を延長し、次年度体制が整い次第共同研究として進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
複数の哺乳類における骨髄において骨髄脂肪細胞周囲細胞(BM-PACs)の存在を検証することを目的に、現在まで犬をはじめとして豚、牛、ラット、猫における存在が示唆される結果を得ている。ラットにおけるBM-PACsと通常の骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSCs)の差をフローサイトメトリーのマルチカラー解析を用いて行う予定であるが、分担者との共同研究においてコロナ禍による施設間の往来の制限などから、研究を中断せざるを得なかったため、進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が収束し、分担者との共同研究が再開可能となることを見越して、研究期間を延長する。研究再開が可能となれば、ラットより分離・培養したBM-PACsとBMMSCのマルチカラー解析を行い、両者の表現型の違いを検討するほか、遺伝子発現の変化についても検討を行なっていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で共同研究として行うマルチカラー解析が行えなかったため、繰越が生じた。次年度は、体制が整い次第、犬BM-PACs、BMMSCsのマルチカラー解析を分担者との共同研究として行い、試薬(主に抗体)や実験動物の購入・飼育費用等に使用する予定である。
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