研究課題/領域番号 |
20K21528
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
金関 貴幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50531266)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 腫瘍抗原 / ネオアンチゲン |
研究実績の概要 |
患者T細胞免疫系はがん細胞HLAに提示された体細胞変異由来ネオアンチゲンを認識し、がん細胞の遺伝子変異量は免疫チェックポイント阻害剤効果のバイオマーカーとして利用されている。しかし、膨大な数の体細胞変異のうち、実際に体内でT細胞反応を惹起する変異はごくわずかしかない。変異アミノ酸配列のHLA結合性はある程度アルゴリズム予測が可能であるが、これら免疫原性を規定する因子は全くわかっていない。本研究では、まずマイクロサテライト不安定性大腸がん細胞株をマススペクトロメトリーHLAリガンドーム解析し、数千種類におよぶHLAクラスI提示ペプチドーム全体を明らかにした。ここには8種類のネオアンチゲンが含まれていた。ネオアンチゲン検出には全エクソーム解析を組み合わせたプロテオゲノミクス解析を用いた。次に、6名の健常人PBMCを用い、同定ネオアンチゲン間の免疫原性を評価・階層化した。さらに高免疫原性ネオアンチゲンの1アミノ酸変異バリアントモデルを作成し、免疫原性との関連性を評価した。ネオアンチゲンはウイルス等外来性抗原とは異なり、原則的に野生型ペプチドが宿主体内に存在する。興味深いことに、バリアントモデル間での免疫原性差は、野生型ペプチドとそれぞれの変異ネオアンチゲンとの立体構造差に相関していた。野生型と構造が離れるに従って免疫原性が生まれてくる可能性が高い。これらの構造さはin silicoである程度予測可能であり、臨床的に意義のある高免疫原性ネオアンチゲンの予測方法確立につながると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
6名の健常人PBMCを用い、同定ネオアンチゲン間のT細胞免疫原性を評価・階層化した。ここでは樹状細胞によるナイーブT細胞刺激前後のネオアンチゲンHLA-A24テトラマー反応T細胞の割合変化に基づいて免疫原性を評価した。とくに高免疫原性を示したネオアンチゲンはP8部位にアスパラギン酸がリシンへと変わる1アミノ酸変異を有していた。このネオアンチゲンのP8部位変異バリアントモデルを作成し、異なったアミノ酸変異で生じる免疫原性変化を階層化した。興味深いことに、バリアントモデル間での免疫原性差は、野生型ペプチドとの立体構造差に相関していた。
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今後の研究の推進方策 |
9-10merのネオアンチゲンペプチドとHLAクラスI分子は複合体をつくり、細胞表面に提示される。これまでの研究成果から、野生型との立体構造差が免疫原性決定に重要であり、実際にT細胞反応差をもたらしていることがわかった。今後は立体構造を3Dモデリングし、構造差をin silico予測するためのアルゴリズム確立を目指す。またこれまで既報となっている免疫原性・非免疫原性患者ネオアンチゲン例を用いたバリデーションを実施する。臨床的に意義のある高免疫原性ネオアンチゲンの予測方法確立を目指す。
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