研究課題
間葉系幹細胞は損傷した細胞に対してtunneling nanotubesを細胞間に形成し、オルガネラ輸送を行う。本年度は、間葉系幹細胞と損傷した腫瘍細胞間のミトコンドリア輸送におけるHMGB1の役割について探求した。はじめに、CT26細胞をPKH67で、間葉系幹細胞のミトコンドリアをMitoTrackerで標識し共培養したところ、標識mitochondriaが少数の腫瘍細胞内へと移行した。CT26を5-FUで単独処理すると、腫瘍細胞内への標識mitochondriaの移行は増加した。これに対し、ミトコンドリア移行は抗HMGB1抗体との同時処理で抑制された。また、間葉系幹細胞に5-FUで処理したCT26細胞の上清を添加し、さらに抗HMGB1抗体で処理した時、ミトコンドリア移行関連タンパクであるMiro1、Myo19、connxin43のmRNAの発現減少がPCRにて確認できた。また、タンパク質発現レベルでもMiro1の減少を確認した。以上の結果から、化学療法により損傷したがん細胞から放出されたHMGB1が、間葉系幹細胞から損傷細胞へのtunneling nanotubesの形成を誘発しミトコンドリア輸送を促進すると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
化学療法によりミトコンドリア移行が発生するメカニズムの解明が進捗しており、その標的化が可能になった。
ミトコンドリア移行により移入されたミトコンドリアによる細胞形質変化について検討を行う。また、HMGB1標的化によるミトコンドリア移行の抑制について、種々の標的化法およびHMGB1分子種との関連について検討する。
残額については、次年度消耗品に使用する。
すべて 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 8件、 査読あり 11件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
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