研究課題
研究活動スタート支援
本研究の目的は、近現代英語小説における語りのスタイルの一動向を、語りの時制(特に、語りにおける現在時制の使用方法)に着目して考察し、その言語・文体的特徴を記述することであった。本研究では、語りにおける現在時制の使用方法が変容していく過程に焦点を当て、現在時制が、どのように、そしてなぜ語りの時制として機能するようになったのかを分析した。また、語りの時制としての現在時制の使用方法に関する歴史的プロセスを、知覚描写との関係から言語・文体レベルで明らかにすることができた。
物語論、文体論
現代英語小説においては、語りにおける時間と時制の関係が変化し、時制の使用方法も変容し続けている。現代小説に顕著にみられるようになった「現在時制語り」によって、これまで物語は過去時制で語られるものであるという人間の認識も変化しつつある。本研究は、現在時制語りが語りのスタイルとしてその地位を確立するまでの歴史的プロセスの着目し、とりわけ現在時制と知覚描写の関係性に焦点をあて研究していくことで、語りのスタイルの研究に新たな視点を加えることができた。