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2023 年度 研究成果報告書

戦時言論統制下における小説表現の創出についての研究―太宰治を中心に―

研究課題

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研究課題/領域番号 20K21978
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0102:文学、言語学およびその関連分野
研究機関香川高等専門学校

研究代表者

野口 尚志  香川高等専門学校, 一般教育科(高松キャンパス), 講師 (70882520)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2024-03-31
キーワード太宰治 / アジア・太平洋戦争 / 言論統制 / 文学者と社会 / 思想戦
研究成果の概要

太宰治の中期作品の特徴として、動物の比喩と女性の一人称の語りを挙げることができる。これは前期にはほとんど見られず、中期に増加する。本研究は言論統制と文学表現の関係を追究しようとしたものだが、その過程で、検閲による処分を避けつつ、戦時体制からの疎外を表現するために、動物と女性が作品の中で用いられている可能性が浮上してきた。動物と女性を用いることによって、戦時体制の中でもとりわけ徴兵制がつくり出す疎外の問題を語っていたのが中期の太宰作品だったのではないかと考えられる。こうした戦争への単純な賛否とはことなる作品読解の視点を追究した。

自由記述の分野

日本近代文学

研究成果の学術的意義や社会的意義

戦時下の文学作品は戦争への賛否以外にどのような視点で読むことができるのか、そのことを考えるために言論統制が生み出す文学表現について追及した。太宰治の作品からは、戦時体制からの疎外を語る作品の様相を見てとることができる。これには戦争への批判の側面と、戦時体制への協力を兵士とは異なる形で行いたいという願望の表れの面とがある。この両極が同時に存在する視点は学界に提示する意義のあるものと考える。また、こうした作品を戦時下で発表する作家の行動からは、国家体制と国民との関係についての問いかけを得ることができるだろう。

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公開日: 2025-01-30  

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