本研究ではまず自己決定権の国際法における権利としての確立の過程を検証した。特に脱植民地化が収束した後、民族対立に起因する分離独立や先住民族による国際的な権利回復運動などを受けて深まった国家内での自治や政治参加を実現する内的自己決定の議論に注目した。このような現代的理解に基づき、沖縄の歴史、特に琉球処分、サンフランシスコ平和条約によって固定化した米国の軍事的植民地としての統治、そして日本への返還を検証し、返還までの沖縄の人々は「非自治地域に準じる地域の人民」としての自己決定権を有していたと解釈でき、さらに、そのことが現在の沖縄の人々の「人民」としての内的自己決定権の主張に正当性を与えると論じた。
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