本研究の主な成果は、次の3点である。第1に、近年各地の自治体で取り組まれている採用制度の改革(専門試験の廃止、民間試験の導入、試験日程の変更、広報手段の多様化など)が、職員採用試験の競争率の上昇に寄与していることを定量的に明らかにした。第2に、受験者数の確保・競争率の向上を主眼とした以上のような改革の背後に、日本の民間大企業における伝統的な採用戦略と類似したロジックが存在していることを指摘し、その問題点や限界を理論的に分析した。第3に、「採用される側」の視点として、自治体志望者と民間企業志望者との比較を行い、自治体志望者の特徴や自治体への入職意欲を規定する要因を明らかにした。
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