研究課題
研究活動スタート支援
本研究の最大の成果は,内戦研究において看過される傾向にある政治アクターの内戦終結への影響を明らかにし,「拒否権プレーヤー論」の枠組みを用いてどのような条件下で政治アクターが交渉による内戦終結に賛成/反対するのかというメカニズムを明らかにした点にある。拒否権を有する政治アクターは,既存の内戦研究が指摘するような「戦争によるコスト」のみならず「内戦終結への支持/不支持が市民からの支持獲得に寄与するのか」という政治的誘因のもとで自身の支持態度を決定することが明らかとなった。
比較政治学
本研究成果の学術的成果は,内戦の期間や終結のあり方を明らかにするためには,軍事状況だけでなく,内戦終結の方向性に決定権をもつ政治リーダー(大統領や首相)がどの程度市民からの支持を得ているのか,政治リーダーと議会メンバーとの関係性といった内戦国内の政治状況を考慮に入れる必要性を示唆するものである。とりわけ,交渉による終結においては国内の制度枠組みが大きく変更される可能性があり政治アクターの承認が必要となるケースが多いため,交渉の仲介者や支援組織は国内の政治状況を正しく認識することが求められる。