経済活動と感染症の流行を関係づけたモデルに基づき、社会の厚生を最大化する政策を考えることで、健康と経済を同時に考慮した対策を設計する理論的基礎が与えられる。経済活動を制限すると、感染症の流行も抑制され、そこに健康と経済のトレードオフが存在するが、一律の活動制限と比較して、対象を選別して活動を制限する対策をとることで、効率性を高めることができる可能性がある。 日本で実施された対策では、感染症に対応できる医療資源(感染症病床)が極めて限られているために、経済活動の制限が加えられている。定常状態を分析できるSISモデルを用いて、医療資源制約を緩和する政策の便益と費用の概念整理を行った。
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