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2021 年度 実施状況報告書

ボツワナにおけるHIV感染予防行動と治療・予防の無償化政策に関する実証分析

研究課題

研究課題/領域番号 20K22107
研究機関早稲田大学

研究代表者

永島 優  早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (70880277)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2023-03-31
キーワードHIV/AIDS / ボツワナ / 政策効果 / 因果推論
研究実績の概要

本研究は、ボツワナにおけるAIDS治療薬の無償化とコンドームの無償配布がHIVの予防効果に与えた影響を実証的に分析するプロジェクトである。実施計画においては、2021年度は、因果推論モデルに基づくデータ分析、推定パラメータに基づく政策費用の計算、論文執筆を中心に行う予定であった。得られた分析結果は、経済学の学術論文としてまとめ、学会や国際査読誌への投稿を目指していた。
研究期間開始当初より、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を大きく受けた。具体的には、分析に使うデータは、社会調査データ、医療機関データ、そして社会調査データの地理情報データの3つであった。このうち、社会調査データの地理情報データは、ボツワナ政府の統計局からの提供を待っていた。しかし、コロナ禍の影響を受け、渡航してデータの詳細を確認するなどの対応ができず、メールによる連絡が繰り返し滞ったり、担当者が代わったりしたため、研究開始当初の予定より約1年遅れて2021年8月にようやく受領することができた。もう一つ取得を目指していたコンドーム配布の地理データは、現地調査機関と連携して収集を目指していたが、コロナ禍により長期の調査が困難であり、断念した。
その後、研究の遅れを取り戻すため、学生を研究補助として雇用し、データの整理を継続して進めてきた。2021年度中に因果推論モデルに基づくデータ分析を行うことはできなかったが、3つのデータセットを結合して、記述統計分析を行うことが可能になった。また、因果推論モデル使用の前提となる仮定が満たされているかどうかの確認も行うことが可能になった。これまでのところ、因果推論モデルの仮定が満たされていないことを示す結果は得られていない。先行研究の結果と比較して、整合的な箇所も多い一方、異なる結果も得られており、今後さらなる分析を通して、政策効果をより厳密に計測する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

先述のとおり、コロナ禍の影響により、社会調査データの地理情報データの受領が1年以上にわたって遅延した。また、取得を目指していたコンドームの無償配布地点のデータは、長引く渡航制限や相手国の状況、研究期間を鑑みて断念し、その埋め合わせのための追加データの取得も検討したがうまくいかないことを確認してあきらめることとした。こうした状況が度重なり、進捗状況は遅れているものと判断する。また、遅れているだけではなく、当初計画していた分析も一部断念せざるを得ず、研究計画を完全に遂行することも不可能と判断する。

今後の研究の推進方策

コンドームの無償配布によるHIV感染予防行動の拡大があったかどうか、という分析は、データ収集が不可能になったことにより断念せざるを得ないが、州レベルでの配布状況は分かっているため、これを分析上考慮することで対応する方針とする。
2021年度に受領できた社会調査データの地理情報データも、社会調査データすべてを網羅するものではないことが判明し、過去分のデータを因果推論モデルにおいて使用できないことがわかったが、それでもできる範囲の分析で研究目的の問いに答えることは可能であるため、統計分析上標本サイズが小さくなる欠点はあるが、当初のモデルによる推論を行うことで対処する。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究計画中に予定していた現地調査のための渡航費用などが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、調査自体を計画することができず、またデータの収集状況に大きな変更があったため、調査そのものを実施する必然性がなくなった。一方、データ収集に想定以上の時間を要し、データ分析の開始を相応に遅らせざるを得なかった。そのため、当初計画の期間を超えて、次年度使用額が生じた。

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公開日: 2022-12-28  

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