本研究は、治療へのアクセスを拡大することで感染症の予防行動が減少するという理論予測通りの行動変化が実際に起きたのか、データを用いて検証することを目的とし、HIV感染者率が世界の中でも極めて高いボツワナにおける無償ART提供政策の効果測定に取り組んだ。そのために、HIVの検査結果を含む社会調査データと、無償ART提供状況のデータを、地理的に結合し、差の差法による因果推論分析に取り組んだ。研究期間中に論文完成までは至らなかったが、今後解析と論文執筆を進めて、HIV/AIDSはもちろん、疾病予防において最も重要な問いの一つに関する信頼性の高いエビデンスを発表する下地が得られたことは意義深い。
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