組織システム論における組織境界と時間概念を深堀することで、自己産出系論が古典的なシステム論と比べて一体何を課題とし、主題化しているのかがより詳細に明らかになった。それは、短く言えば、組織観察の動態化と、閉じつつ開いているシステムの記述のための述語を用意したことにある。 本研究は自己産出系論とも言われるニクラス・ルーマンのオートポイエティックなシステム論が、いかに時間の流れのなかにある意思決定を理論的に重視したのかや、不透明な自己像に関する自己観察と自己記述の際を利用しているのかについて明らかにし、そうすることで経験的な研究と理論を結ぶ糸口を提示した。
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