きょうだい支援団体の運営者及び運営者と同等の役割があるスタッフを対象にインタビュー調査を実施した。きょうだい、親、専門職者、各々の調査協力者に対し、障害児者とそのきょうだいの間に期待する関係性、きょうだいに期待する生き方や生活、調査協力者が携わるきょうだい支援団体の実践・啓発に関する現状と課題等について聞き取り、分析した。 きょうだい間に期待する関係性について、きょうだいの運営者の語りからは【個人として成立する(自立できる)関係性】【どんな形でも認められる関係性】が重視され、きょうだいに特定の条件を設けず、きょうだいが主体となる生き方が期待されていた。一方、親の運営者の語りからは【きょうだいが自由に生きること】を尊重する一方で、【お互いが認め合える関係性】として、【障害のある兄弟姉妹を否定しないこと】【自分の人生(宿命)だと受け止められること】といった特定の条件を設けていることが明らかとなった。 親がきょうだい支援団体の運営に携わる背景には、支援団体の数が少なく親が運営せざるを得ない状況がある。親が運営者であることで、同じ立場の親が安心して子ども(きょうだい)を繋ぐことができるという利点もある。きょうだい、専門職者の運営者らとも協働しながら、支援策を検討することの重要性が明らかとなった。 きょうだいの啓発に関連して、ヤングケアラーの啓発のあり方を検討するため、中学生が取り組んだヤングケアラーに関する調べ学習の成果発表の分析も実施した。その結果、事前学習における調べ学習の内容の設定、ヤングケアラーを憐みの対象と認識しないようにする方法、成果発表のグループ間での相互理解及び共有のあり方等の課題が明らかとなった。今後、きょうだい、ヤングケアラー当事者の声も踏まえながら、継続性のある啓発のあり方を検討する必要がある。 研究成果の一部は、現在、論文を投稿中及び投稿準備中である。
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