研究課題/領域番号 |
20K22251
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
長谷川 鷹士 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助手 (30878418)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 師範学校 / 教師教育 / 生徒文化 / 学校文化 |
研究実績の概要 |
師範学校において、生徒たちがどのような学んでいたのか、その結果、どのような資質能力を身に付けたのかを明らかにする観点から、昨年度に引き続いて、校友会雑誌や写真帖など、生徒の実生活に近接した資料の収集に努めた。また山口県に資料調査に赴き、山口県師範学校出身の玖村敏雄の資料を中心に収集した。玖村の資料は山田昇の先行研究などでも言及されており、近年、目録化なども進められている。しかし、玖村の師範生徒時代に着目した資料分析はなお不十分である。そうした研究状況を踏まえて、玖村資料の収集に努めた。そのほか、東京学芸大学の大学史資料室において、調査に向けての予備調査を実施した。 そうした資料調査・収集を基盤として、師範学校の教育実態に関する論文を学内紀要に2本発表した(『日本教育史論集』『早稲田大学教育学会紀要』)。うち『早稲田大学教育学会紀要』掲載論文では本研究で重要な視点としている、現在の教員養成論と師範学校評価の結びつきを意識し、本研究で明らかにしてきた師範学校の教育・学習実態を踏まえながら、今日の教員養成教育の特質を論じた。 また論文という形で発表するには至らなかったが、師範生徒の学びや生活の実相を窺える資料の分析を進めた。これまで充分に検討されてこなかった師範学校での教育・学習の実相の一端を検討することができており、師範学校の教育・学習の実態を明らかにするという本研究の目的に照らして、有意義な進展があったと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続いてコロナ禍のため、充分な資料調査を実施できなかった。また代表者自身が新型コロナウィルスに罹患したため、研究活動自体もその間、停滞を余儀なくされた。 これまでに収集した資料の分析などは行ったが、当初の予定からすると検討対象にできる資料の質・量という点でやや遅れが出ていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍も昨年度までと比較すれば、落ち着きをみせているような状況にあるので、資料調査を可能な範囲で実施していく予定である。またこれまでに収集した資料の分析を継続して進めていく予定である。特に昨年度、論文化に至らなかった分析資料を基盤にして、学会発表や論文化を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、予定していた資料調査を実施できなかった。来年度での実施を予定し、来年度に一部繰越すこととなり、次年度使用額が発生した。また資料調査の遅れなどのため、来年度も本研究課題を継続することとなり、結果、「報告書」の作成が1年延長されたため、「報告書」作成用の予算についても来年度に繰り越すこととなった。
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