最終年度は1年目、2年目に引き続いて、資料収集と資料整理に努めた。コロナ特例による1年延長であったので、思うような成果は上がらなかったが、一定の資料収集はできたと考えられる。 研究期間中、3年間に計3本の論文を発表した。師範学校の「教育効果」として、教育への使命感形成を扱った論文1本を発表した。また「教育効果」のスパンを伸ばし、戦後への影響までを視野に入れて、師範生徒の性別役割意識の形成を扱った論文1本も発表した。さらに師範学校の各科教授法教育と戦後の大学における教科教育法教授を対比した論文1本も発表した。本研究の目的からすると発表できた研究成果は、特に対象とした事象の範囲の点でやや限られたものとなってしまった。特に師範学校での教育学教育について、教育理論に関する教育と、教育技術に関する教育の内容について、論文発表に至ることができなかった。ただし、資料収集、分析は一定程度進めることができたので、この点は今後、研究を進め、発表できるはずである。 研究期間中、新型コロナ感染症の流行と重なったため、日本国内の師範学校後身校での資料調査は充分には実施できなかった。研究資料の収集にとどまらず、散逸を防ぐためにも必要な作業であったため、ほとんど実施できなかったのは残念である。ただし、山口県文書館、東京学芸大学大学史資料室での資料収集は実施できた。収集資料の利活用は充分ではないので、今後、研究を進める中で活用していければと考えている。
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