文字単語を「素早く読む」ことは社会生活を支える重要な能力であると同時に、発達性ディスレクシアを有する人々においては困難が残存しやすい要素である。一方で、高速な読みやその障害の背景にある認知神経学的機序は明らかではない。本研究では経頭蓋磁気刺激を用いることで、近年注目されつつある左下前頭皮質の高速活動が、読みに対してどのような機能的・因果的役割を有しているかを明らかにすることを目的とした。主要な成果として、左下前頭皮質は音読に特異的に貢献すること、そしてその活動は他の読み関連領域よりも遅く生じるわけではないことを示した。
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