解決志向アプローチに基づくセルフケア支援ツールを実現するために、目標の具体性および現実性を機械的に判定する分類器について、2022年度では、2021年度に改良した分類器をセルフケア支援ツールに組み込んだWebツールを開発した。このWebツールはオンライン上で回答することが可能であり、自身が設定した目標について、具体的である確率と現実的である確率が機械的に算出され、提示することができる。その他、2021年度では、解決志向アプローチについて、従来は近い未来の解決像を明確化する技法の効果について多くの検討がなされてきたが、より遠い未来の解決像を明確化する技法の効果を検討した。その結果、遠い未来の解決像を明確化するこ とにより、時間を大切にしようとする姿勢が高まることが示された。2022年度では、この研究の論文が掲載された。以上の研究を通じて、具体的で現実的な 目標を設定することの重要性を示し、解決志向アプローチの技法についてより詳細な検討を行い、目標の分類器の精度を高め、双方向型のツールを開発した。その一方で、新たに開発された解決志向アプローチに基づくセルフケア支援ツールは、目標の具体性および現実性について機械的に判定する機能を備えたのみであるため、対面式の面接におけるセラピストからのフィードバックとは程遠いものである。したがって、より対面式の面接に近いフィードバックを情報処理の技術によって実装するために、フィードバックについてさらなる検討が必要となる。
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