研究実績の概要 |
本研究では, アフィン代数多様体における「消去問題」に取り組む. 消去問題とは X×A^1=Y×A^1をみたすとき X=Y となるかを問う問題である. ここで A^1 はアフィン直線を意味する. この問題には既に反例が構成されており一般には成立しない. 本研究では消去問題が成立するための条件を明らかにし, 応用に適した理論を構築する. 特に, 元の消去問題を一般化して X×A^n=Y×A^n をみたすとき X=Y が成り立つアフィン代数多様体の同型類を明らかにする. ここで A^n は n 次元アフィン空間を意味する. そのために消去問題の成立条件が記述できる新しい不変量を構成する. その不変量は, 既存のMakar-Limanov不変量と, 申請者がこれまでのこれまでの研究で構成した不変量を改良して構成する. そのために, アフィン代数多様体の座標環上に定まる次数構造に着目した手法を用いる. 今年度は座標環上の次数由来の不変量を, 曲線 (1次元) の場合や曲面 (2次元) で計算した. これにより, 次数由来の不変量で消去可能性が判定可能なものと, そうでないものの具体例を得ることができた. 特に, 対数的小平次元による代数多様体の分類と状況が異なることが確認でき, 今後の研究の方向性を見つけることができた. これについては, まだ論文にするには至っていない. また, 本研究の主対象であるUFDについて, いくつかの新しい判定方法を構成してまとめたものを, 学術雑誌へ投稿し査読中の段階である. これについては, プレプリントサーバーのarXiv (arXiv:2102.06642) にて公表している.
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