この研究は半導体スピントロニクスの研究領域において主要な材料であるシリコンやヒ化ガリウムについての先行研究に立脚してあらたな材料分野を開拓することを企図したテーマである.具体的には以上の2つの材料について共通する性質をあわせ持つ炭化ケイ素に着目して,スピン流注入実験を行いスピントロニクス物性を解明することを目指した.このような実証実験を実現するためには半導体の微細構造におけるスピン流のふるまいを予め計算することが不可欠であり,その支配方程式であるスピン拡散方程式を実デバイス構造で演算する手法の構築に成功した.新規半導体材料を用いた実証実験を進めるための地歩を固めることができた.
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