研究課題
本研究では、規則―不規則変態が生じる合金系の溶融金属の熱物性、熱力学関数の相関性について、融体構造および電子状態の観点から明らかにすることが目的である。従来、溶融金属に生じる過剰体積は、1988年にIidaとGuthrieによって報告された過剰体積と混合のエンタルピーとの相関性で考察されるのが一般的であった。すなわち、過剰体積が正の値を示す場合、異種原子間相互作用を反映する過剰エンタルピーは正の値をしめす。これに対する解釈としては、異種原子間に斥力が生じることで異種原子間の距離が大きくなることで体積が大きくなる。過剰体積が負の場合は、逆のことが生じている。しかし、固体状態で規則―不規則変態を生じる合金系においては、IidaとGuthrieモデルは適応することができないなど問題が生じている。そこで我々の研究グループでは混合のエンタルピーに変わり過剰ギブズエネルギーを用いた相関性を用いた新たな金属溶液論を提唱した。しかし、これらの合金系では、遷移金属内の3d電子数が増加するとともに、過剰体積は増加し、過剰ギブズエネルギーが減少するという従来では考えられない相関性が生じている。そこで本研究では、溶融金属の融体構造および電子状態から、この相関性の原因を明らかにする。まず、本研究を追行するにあたり、高強度X線を利用できる高輝度放射光施設SPring-8のBL01XUを採用した。測定系は、一番大きな過剰体積および最小の過剰ギブズエネルギーを示すFe-Pd合金を対象とした。
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High temperatures-High pressures
巻: in press ページ: in press
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