本研究では、パンコムギにおける乾燥ストレス誘導性二次代謝産物の探索とその機能解明を目的とした。乾燥処理を行ったパンコムギ地上部を抽出し、誘導される物質を調べたところ、3つの化合物が増加することが分かった。それぞれの化合物を精製し、構造解析を行った結果、化合物1-3はそれぞれ、トリプトファン (1)とヒドロキシ桂皮酸類2分子がグリセロールとエステル結合したフェニルグリセロール類2種(2, 3)であった。加えて、これらのフェニルグリセロール類は抗酸化活性を有することから、乾燥ストレスによって引き起こされる酸化ストレスの抑制に関わると考えられる。
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