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2020 年度 実施状況報告書

Axon guidance moleculeの制御による膵癌神経浸潤抑制

研究課題

研究課題/領域番号 20K22817
研究機関九州大学

研究代表者

藤原 謙次  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10727184)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード膵癌 / 神経浸潤 / Axon guidance molecules / 線維芽細胞 / 細胞間相互作用
研究実績の概要

膵癌は非常に予後不良な消化器癌の一種であり、診断時には転移を来たしていることが多い。膵癌の転移経路としては神経浸潤、リンパ管浸潤、静脈浸潤が代表的なものであるが、特に膵癌においては神経浸潤を効率に合併しており、神経浸潤が予後と密接に関連することが知られている。本研究は、膵癌細胞、神経細胞のみでなく、線維芽細胞、シュワン細胞といった4種類の細胞間の相互作用に関して総括的に解析を行う。また、それぞれの相互作用経路においてAxon guidance moleculeといった重要な伝達分子や作用機構を詳細に検討し3D Migration assayを使用したIn vitroモデルや膵癌自然発生マウスモデルなどを使用し伝達経路を標的とした治療の開発を目的に開始された。
本年度は、膵癌細胞、線維芽細胞、神経細胞を用いた3D Migration assay modelの作成にむけて、ヒト膵癌切除検体からのヒト膵癌細胞、癌関連線維芽細胞、神経細胞の樹立を試みた。同一検体より、膵癌オルガノイド培養法を用いてヒト膵癌オルガノイドを樹立し、またOutgrowth法を用いて癌関連線維芽細胞の樹立に成功した。しかし、膵癌組織中のヒト神経細胞の樹立に難渋し、本年度は神経細胞の樹立ができなかった。樹立できたヒト膵癌オルガノイドと癌関連線維芽細胞を用いた三次元共培養モデルを作成し、同時にその浸潤能を評価し、その浸潤形態のタイムラプスによるリアルタイム撮像に成功した。このことから、樹立した複数の異なる細胞種を用いた三次元浸潤モデルの作製手技が確立できたと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

神経細胞、膵癌細胞、線維芽細胞の相互作用の解明のために各細胞の初代培養および維持を試みたが、神経細胞の樹立および培養維持に成功しなかった。しかし、ヒト膵癌オルガノイドと線維芽細胞を用いた3次元共培養による浸潤能の評価に成功しており、今後神経細胞の分離・培養に成功すれば、これまでにない神経浸潤を評価し得る3D Migration assay modelの作製につながると期待される。

今後の研究の推進方策

対象となる神経細胞として、生後1-7日目のC57BL/6マウスの胸腰髄を摘出しそこから神経節を切り出す。酵素処理を行ったのちに密度勾配遠心分離などを行いつつ神経細胞のみを分離、培養を行う。培養維持が可能となった段階で、マウス由来膵癌細胞および線維芽細胞(既に樹立・培養・凍結保存済)と神経細胞で共培養を行い細胞間相互作用を観察する。それらの結果をふまえつつ、先に作成した三次元浸潤モデルを用いて、膵癌細胞・線維芽細胞の神経浸潤能増強効果を評価する。

次年度使用額が生じた理由

神経細胞の樹立・分離に至っておらず、計画に遅れを生じているため。
次年度は培養用器材、試薬、マウス費などに使用する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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