膵癌は神経浸潤、リンパ管浸潤、静脈浸潤が代表的な浸潤経路として挙げられるが、特に神経浸潤を高率に合併しており、神経浸潤が予後と密接に関連することが知られている。本研究は、膵癌細胞、神経細胞のみでなく、線維芽細胞、シュワン細胞といった4種類の細胞間の相互作用に関して総括的に解析を行う。また、それぞれの相互作用経路においてAxon guidance moleculeといった重要な伝達分子や作用機構を詳細に検討し3D Migration assayを使用したIn vitroモデルや膵癌自然発生マウスモデルなどを使用し伝達経路を標的とした治療の開発を目的とする。 ステップ【1】では、膵癌細胞、線維芽細胞、神経細胞を用いた3D Migration assay modelの作成を試みた。ヒト膵癌切除検体から患者由来の膵癌オルガノイドを樹立し、Outgrowth法を用いて癌関連線維芽細胞の樹立に成功した。 樹立できたヒト膵癌オルガノイドと癌関連線維芽細胞を用いた三次元共培養モデルを作成し、浸潤形態をタイムラプスでリアルタイム撮像することに成功しており、異なる細胞種を用いた三次元浸潤モデルの作製手技が確立できたと考えられた。現時点では、膵癌細胞と繊維芽細胞の3次元共培養モデルの培養手技は安定しているが、ヒト神経細胞の樹立に難渋している。
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