研究課題
研究活動スタート支援
血管・筋肉老化の発症におけるエストロゲン(E2)の作用と慢性炎症の関与について検討した。メスマウスに卵巣摘出による女性ホルモン欠乏惹起後に腹部大動瘤(AAA)を誘導した。卵巣摘出+AAA誘導によって大動脈瘤の形成が進行し、炎症性マクロファージが中膜から外膜に浸潤した。大動脈RNA解析では炎症性サイトカインであるIL-6,IL-1βの発現が上昇した。これらの変化はE2補充により抑制された。また、卵巣摘出により筋重量と握力が低下した。
加齢医学
女性では、更年期以降のエストロゲン減少によってサルコペニアや心血管病などの発症リスクが高まり、フレイルになりやすいことが報告されている。近年、慢性炎症を基盤に細胞や臓器の老化及び機能低下が引き起こされることが報告されている。本研究では、マウスモデルにおいて女性ホルモン欠如を惹起し、血管炎症が血管老化ならびに筋肉の老化・機能低下に及ぼす影響を検討した。女性ではエストロゲン分泌の低下が全身の炎症を惹起し、血管老化やサルコペニアを介してフレイルに繋がるという機序がわかれば、新たなフレイル予防策の提案が可能となる。