SSc患者やトポイソメラーゼI誘発SScモデルマウスでは、それぞれ健常人やコントロール群のマウスと比べて、マイクロ血管モデル内で多くのB細胞が血管内皮細胞に接着した。この傾向は、線維化の程度が強く重症度が高いSSc患者やSScモデルマウスで顕著であった。これらのB細胞をマイクロELISAで単一細胞解析したところ、抗血管内皮細胞抗体や抗トポイソメラーゼI抗体を産生する、自己応答性B細胞の比率が高かった。 この自己応答性B細胞の亜集団は、血管内皮細胞との接着力が強い集団(強接着B細胞)と接着力が弱い集団(弱接着B細胞)とに分けることができ、このうち強接着B細胞の数が重症のSSc患者やSScモデルマウスでは増加していた。弱接着B細胞は抗炎症サイトカインIL-10を産生するものが多かったのに対して、強接着B細胞は炎症性サイトカインIL-6を産生するのに加えて抗トポイソメラーゼI抗体産生量やBAFF受容体発現量が増加していた。 続いて、強接着B細胞を移植してからトポイソメラーゼIによる誘発を行ったマウスでは、対照群と比較して皮膚や肺の線維化が増悪した。逆に、弱接着B細胞を移植した場合では、線維化の程度は抑制された。また、強接着B細胞の亜集団は抗CD20抗体によるB細胞除去に抵抗性を示したが、抗BAFF受容体抗体を併せて投与すると、効率的に除去された。さらに、トポイソメラーゼI誘発SScモデルマウスにおいて抗CD20抗体は単独でも線維化病変を改善したが、抗BAFF受容体抗体と併用すると線維化抑制効果が増強された。
|