研究課題/領域番号 |
20K22919
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0903:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
江畑 慧 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80884569)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | B細胞 / 全身性強皮症 / 単一細胞解析 / リツキシマブ / 血管内皮細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
全身性強皮症(systemic sclerosis; SSc)では、B細胞が病態形成に中心的役割を果たす。SScの治療抵抗性や病勢には、自己反応性B細胞が関与すると考えられている。これまでsingle B cellを蛋白質レベルで解析する技術が無く、これら自己反応性B細胞の解析は困難だった。本研究では最新のマイクロ流体力学を応用し、マイクロ血管モデルを作成して血管内皮細胞と反応する自己応答性B細胞をsingle cellレベルで解析する。血管内皮細胞に接着し組織に浸潤する自己応答性B細胞が、全身性強皮症の病態や治療抵抗性に果たす役割を明らかにし、より効果の高い治療法開発を目指す。
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研究成果の概要 |
全身性強皮症(SSc)患者やSScモデルマウスでは、マイクロ血管モデル内で多くのB細胞が血管内皮細胞に接着した。これらのB細胞をマイクロELISAで単一細胞解析すると、抗血管内皮細胞抗体や抗トポイソメラーゼI抗体を産生する自己応答性B細胞の比率が高かった。 この自己応答性B細胞の亜集団は、血管内皮細胞との接着力が強い集団(強接着B細胞)と接着力が弱い集団(弱接着B細胞)とに分かれ、強接着B細胞の数が重症のSSc患者やSScモデルマウスで増加していた。弱接着B細胞は抗炎症サイトカインIL-10を産生するものが多かったのに対し、強接着B細胞は炎症性サイトカインIL-6を産生するものが多かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
全身性強皮症は、予後不良な自己免疫疾患であり、難病に指定されている。2021年に新規の治療薬としてリツキシマブが保険承認されたが全ての患者に等しく有効というわけではなく、リツキシマブに対して治療抵抗性を示す患者がいるメカニズムは解明されていなかった。 本研究では、単一細胞解析の技術を用いることで、重症の全身性強皮症の病態形成において、炎症性サイトカインを産生する一部の自己応答性B細胞が重要な役割を果たしていることが示唆された。この研究成果は、リツキシマブに対する治療効果が乏しい全身性強皮症患者がいる理由の解明や、より効果的な治療薬を開発するための大きな助けになると考えられる。
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