研究課題/領域番号 |
20K23001
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
香林 正樹 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (30880786)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 卵巣がん / 遺伝子改変モデルマウス / 電気穿孔法 / 卵管上皮 / 遺伝子導入 |
研究実績の概要 |
本研究は予後不良な卵巣がんの発生・進展機構を解明し、今後更に導入されうる分子標的治療薬の治療効果を正常な免疫を持つ動物モデルで予測するために、卵巣がんが自然発症する新規の遺伝子改変モデルマウス(Genetically Engineered Mouse Model; GEMM) の作製を目指している。従来のコンディショナルノックアウト法はマウスの交配を要するため、莫大な費用と時間を要し、しかも低効率であるため広く汎用することは容易ではない。一方、我々の新規方法は電気穿孔法を用いたIn vivo transfection法を用いて卵管上皮への遺伝子導入を誘導することにより卵巣がんGEMM 作製を目指しており、これが確立されたら安価かつ再現性も高く、画期的な手法となる。これは共同研究者であるMcGill UniversityのDr. Yojiro Yamanakaらが以前に報告した手法(卵管に電気穿孔法を行うことによって高率に着床前の受精卵に遺伝子導入する方法)を応用したものである。まずは、ヒト卵巣がんに高確率で認める遺伝子異常を、がん抑制遺伝子のノックアウトとがん遺伝子の強制発現を組み合わせた遺伝子改変により卵管上皮へ導入し、ヒト卵巣がんの発生、病態に近い卵巣がんモデルマウスを作製する計画である。 現在、標的遺伝子をノックアウトするCRISPR-Cas9 法と標的遺伝子を導入/高発現させるPiggybac 法に用いるプラスミド数種類をDr. Yojiro Yamanakaとの共同研究で作成している。プラスミドが準備出来次第、C57BL/6マウスを用いて麻酔下に開腹し、卵管遠位端の上皮細胞に電極を接触させることで通電させ、細胞膜に微小な穴をあけてその内部に変異導入核酸を送り込み(電気穿孔法)、卵管上皮細胞に遺伝子変異を発現させ、GEMM作製を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の卵巣がんが自然発症する新規の遺伝子改変モデルマウス(Genetically Engineered Mouse Model; GEMM) の作製は、共同研究者であるMcGill UniversityのDr. Yojiro Yamanakaとともに行っている。当計画ではヒト卵巣がんに高確率で認める遺伝子異常を、がん抑制遺伝子(Brca1、Tp53、Pten、Lkb1)のノックアウトとがん遺伝子の強制発現(Myc、Mecom、Pax8)を組み合わせた遺伝子改変により卵管上皮へ導入し、ヒト卵巣がんの発生、病態に近い卵巣がんモデルマウスを作製する。現在、標的遺伝子をノックアウトするCRISPR-Cas9 法と標的遺伝子を導入/高発現させるPiggybac 法に用いるプラスミド数種類をDr. Yojiro Yamanakaとの共同研究で作成しているが、国内外のCOVID-19 Pandemicにも影響され、 実験の進捗はやや遅れている。プラスミドが準備出来次第、C57BL/6マウスを用いて麻酔下に開腹し、卵管遠位端の上皮細胞に電極を接触させることで通電させ、細胞膜に微小な穴をあけてその内部に変異導入核酸を送り込み(電気穿孔法)、卵管上皮細胞に遺伝子変異を発現させ、GEMM作製を目指していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後当研究を推進していくにあたって、カナダの共同研究者であるMcGill UniversityのDr. Yojiro Yamanakaとより緊密に連携し、新規卵巣癌GEMM作製に必要なプラスミドの早期作成を目指す。COVID-19ワクチン接種がカナダや日本を含めて世界中で広がってきており、今後の研究環境は今より好転していき、研究が促進されるものと考える。我々の大学においてもプラスミドの作成を試みてゆき、早期にC57BL/6マウスを用いて卵管上皮細胞に電気穿孔法を用いて変異導入核酸プラスミドを送り込み、GEMM作製を目指していく予定である。
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