研究課題
研究活動スタート支援
制御性 T 細胞(Treg)は過剰な免疫応答を抑制する働きをもち、Treg を増強する治療戦略は自己免疫疾患や炎症性疾患に有効である。本研究は、皮膚に活性型ビタミン D3 を塗布することにより全身性に Treg を増殖させる手法について、その Treg 増殖機構の解明を目指した。皮膚への活性型ビタミン D3 塗布は TSLP と呼ばれるサイトカインを産生誘導するが、TSLP は皮膚の特定の樹状細胞サブセットを刺激し、皮膚所属リンパ節で Treg 増殖を促進するという機序が明らかとなった。
免疫学
Treg 増殖を促進し過剰な免疫応答を抑制する治療法としては、慢性移植片対宿主病(GVHD)に対する低用量 IL-2 療法が代表的である。皮膚への活性型ビタミン D3 塗布による Treg 増殖誘導法は、皮膚を利用して全身の免疫バランスを調節するという新しい発想に基づいており、低用量 IL-2 ほど強力ではないものの、簡便かつ安価である。本研究はその臨床応用に向け、マウスモデルで Treg 増殖機構を明らかにしたものである。