研究課題
研究活動スタート支援
妊婦へのストレス負荷は、胎児の脳神経系機能の発達に影響を与えることが示唆されている。本研究では、母体ストレス負荷による胎生期ストレスモデルにおける顔面部の疼痛感受性変化とその発症メカニズムを解明することを目的とした。その結果、胎生期ストレスモデルラットは、成体期に顔面部機械アロディニアを生じること、また、その発症には三叉神経節におけるセロトニンおよびNav 1.8が関与することが明らかになった。
小児歯科学、口腔生理学
これまで、妊娠中のストレス負荷による口腔顔面領域における胎児の痛覚情報伝達機構への影響については不明であった。本研究により、胎児期における母体ストレスが生後の異常疼痛の発症を引き起こすメカニズムの一端が明らかになったことから、母体へのストレス負荷が誘因と考えられる患児に対する異常疼痛発症予防への応用が期待できる。将来、末梢神経系のセロトニンやNav1.8をターゲットとした薬物治療により、胎生期母体ストレスに起因した異常疼痛発症の抑制に役立つ可能性がある。